日本全国の特別養護老人ホームの類型とは(PHJによる独自の類型分けです) | ポスト・ヒューマン・ジャパン株式会社

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  • ブログ2023.09.14

    みなさん、お元気ですか?

     

    経営者としての、施設長としての、管理者としての、本日1日のあなたの仕事の「意図」は
    どのようなものでしょうか?

    ポスト・ヒューマン・ジャパン株式会社(PHJ)の谷本です。

     

     

    日本全国の特別養護老人ホーム(特養)には、様々なケア方針が存在することが一般的です。
    以下に、PHJ独自見解による4つの類型について簡単に説明します。

     

    1. 1.不適切ケア型特養
    2.  この型では、スタッフの教育不足や尊重の欠如が明らかで、言葉遣いもタメ口や
       スピーチロックが日常化しています。その結果、高齢者が防衛機制を働かせ、生きる
       気力が失われていく可能性があります。防衛機制とは、ストレスや脅威に対処する
       ために心理的なメカニズムが自動的に働く現象です。これによって認知症が進行する
       リスクも高まります。
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    4.  その結果、高齢者が必要なケアを受けられず、健康状態や精神状態が悪化(高齢者
       が防衛機制を働かせてしまう)し、生活の質が低下する可能性があります。

     

    1. 2.お世話型特養
    2.  このケア方式は、スタッフが高齢者の日常生活を支援する形で主に「お世話」をする
       スタイルです。この型は、一般的に日本でよく見られるケアスタイルであり、席ない
       ことだけではなくできることも、「安全のため」というお題目に則り、代わりに「して
       差し上げる」ことで、高齢者が安心できる環境を提供することが主眼とされています。
       この型では、寝たきり状態が促進されることで、各種の廃用症候群(筋力の低下、関節
       の硬直など)が進行していく可能性があります。これは肺炎や床ずれなどの身体的な問題
       を引き起こすだけでなく、認知症が進行するリスクも増します。特に、高齢者が積極的に
       動く機会が少なくなるため、健康状態は日増しに悪化、重度化していく可能性が高いです。

     

    1. 3.自律支援型特養
    2.  この型では、高齢者ができることはご自分でしていただき、その代わりにご自身で
       できないことについて代わりにして差し  上げることで、できる限り自立した生活を
       送ることが推奨されます。スタッフは、高齢者が自分でできることは自分で行うように
       サポートし、自律を促進するケアが行われます。
    3.  この型は高齢者ができるだけ自立した生活を送ることを推奨していますが、具体的な
       廃用症候群からの回復のノウハウを持ち合わせていないため、ケアの質に問題があると
       されます。ケアのプロセスで具体的な回復への取り組みが少ないため、結果的に重度化
       を招く可能性があります。

     

    1. 4.自立支援介護(科学的介護)型
    2.  科学的な根拠、科学的介護の先行研究理論に基づき、高齢者一人一人の身体状態や心理
       状態を詳細に評価し、それに適したケアプランを作成するタイプです。
       科学的な根拠に基づき、高齢者一人一人の状態を詳細に評価するこの型は、廃用症候群
       からの回復や認知症BPSD(行動・心理症状)の消失といった高いアウトカムを目指し
       ています。国民やご家族の非認知ニーズは、このような高いアウトカムを目指す科学的
       介護にあると考えられます。
       科学的介護が目指すアウトカムは非常に高く、多くの高齢者やその家族にとって非常
    3.  魅力的であると言えるでしょう。それが実現することで、高齢者の健康状態の向上だけで
       なく、家族や社会全体の負担も軽減される可能性があります。
      この方向性は特に、社会
       福祉法人の介護を科学的介護に改革する仕事においても非常に有用な指針となる
      でしょう。

     

    各種症状に対する具体的なアプローチと解決策が提供されるため、高齢者やその家族が求
    める非認知ニーズに応える可能性が高いです。
    このようなケアが進行すれば、高齢者自身の健康状態が改善されるだけでなく、その家族
    や社会全体の負担も軽減される可能性があります。
    従って、科学的介護による改革は非常に有望な手段と言えるでしょう。

     

    P.F. ドラッカーは「マネジメントとは、働くものが頑張っている・・・を認めることで済ま
    せるのではなく成果をださせるためのプロセス」と言っています。

     

    各特養の型とその成果、さらに科学的介護が目指す方向性にドラッカーの考えを適用して
    みましょう。

     

     

    1. 1.不適切ケア型特養
       この型ではスタッフが頑張っているかもしれないが、その「頑張り」が高齢者の健康や
       生活の質に貢献していない場合が多い。ドラッカーの言葉を借りれば、成果が出ていな
    2.  いのです。

     

    1. 2.お世話型特養(安静介護型)
       お世話はしているが、それが高齢者の健康状態の悪化や廃用症候群の進行を招いている場合がある。
       マネジメントとしては、成果(高齢者の健康状態の維持や向上)が出ていないと評価されるべきです。

     

    1. 3.自律支援型特養
       この型では、高齢者が自立を促されるが、その過程で具体的な成果を出すプロセスやノウハウが
       欠けている場合が多い。ドラッカーのマネジメントの定義に照らせば、こちらも成果を出して
       いないと評価されます。

     

    1. 4.自立支援介護(科学的介護)型
       この型はドラッカーのマネジメント観に最も合致していると言えるでしょう。なぜなら、科学的根拠
       に基づいて各高齢者の状態を詳細に評価し、その上で最も効果的なケアを提供することで「成果」を
       出すことを目指しているからです。

     

    ドラッカーの考えに基づくと、成果を出すためのプロセスが確立されているのは自立支援介護(科学的介護)
    型だけであり、これが社会全体、特に高齢者とその家族にとって最も有益なケアの型である可能性が高いです。
    このような成果を出すプロセスが確立されれば、高齢者自身の健康状態はもちろん、その家族や社会全体の
    負担も軽減されるでしょう。

     

    では、また!