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2022.06
  • ブログ2022.06.14

    PHJの谷本です。

     

    前回に続き、何故、ほとんどの介護事業者・社会福祉法人・医療法人は、介護保険法の理念を体現することができないのか?について考えてみたいと思います。今回、第二弾です。

     

    介護保険法の理念を体現?私たちは介護保険法上、サービス事業者として認可されているんだから、法の理念は当たり前に体現しているようで、されていません。

     

    では、今回も一緒に法律条文を確認してみましょう!

     

    (介護保険)

    第二条 介護保険は、被保険者の要介護状態又は要支援状態(以下「要介護状態等」という。)に関し、必要な保険給付を行うものとする。

    2 前項の保険給付は、要介護状態等の軽減又は悪化の防止に資するよう行われるとともに、医療との連携に十分配慮して行われなければならない。

    3 第一項の保険給付は、被保険者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、被保険者の選択に基づき、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが、多様な事業者又は施設から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われなければならない。

    4 第一項の保険給付の内容及び水準は、被保険者が要介護状態となった場合においても、可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない。

     

    多くの福祉系学者や社会福祉に関わる経営者、医療に関わる経営者等が、第3項のみを切り取って、重視することをもって、「自立支援」という解釈をおこなってきましたが、法律条文の異端な解釈であることを知る方は少ないのです。
    第2条の解釈のポイントはその順番とバランスです。優先順位は第2項→第3項→第4項です。
    そのため第2項を実践できていないことは大きな問題であるのです。
    第2項を遵守して初めて、第3項に謳われている「高齢者による自己決定(近年は「意思決定」とされる)がはじめて客観的に実行できる介護環境であると言えるわけで、お世話型介護のみのサービス提供では、適正に選択肢が用意されていないため、高齢者本人や家族が適正な選択を行いようがないのです。
    第2項→第3項→第4項の順番正しく解釈することで、第4項の「可能な限り、その居宅において・・・」が実現する可能性が高まるわけです。

     

    第3項切り取り解釈が好きなケアマネージャー系の有識者は、『「自立」とは「自律」である。』と誇らしげに、高らかにおっしゃいますが、それは欧米で歴史上起こったムーブメント、障がい者による「自立生活運動」の考え方・理念を違うジャンルの「高齢者福祉」に無理やり、狡猾に適用させているという知性なき見解を恥ずかしげもなく流布したもので、無認識極まりないものだと言われています。

     

    介護保険法における「自立」は何のひねりもありません。「自律」ではなく「自立」から始まるのです。だから「科学的介護」であり「自立支援・重度化防止」が介護保険制度のメインストリームに戻ったのです。

     

    シリーズ:「介護保険法の条文、法的義務(努力義務じゃないですよ!)を多くの法人が遵守していない要因を探る!」その2は、ここまで!

     

    PHJ 谷本でした。

    PHJ 谷本