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PHJの谷本です。
突然ですが、何故、ほとんどの介護事業者・社会福祉法人・医療法人は、介護保険法の理念を体現することができないのか?について考えてみたいと思います。今回、第一弾です。
いくつか要因が考えられますが、その前に、経営者の皆さんや専門職の皆さんは「どういう意味だ?」と思われましたよね。
介護保険法の理念を体現?私たちは介護保険法上、サービス事業者として認可されているんだから、法の理念は当たり前に体現しているはず!と思われたかもしれません。
では、一緒に法律条文を確認してみましょう!
(介護保険)
第二条 介護保険は、被保険者の要介護状態又は要支援状態(以下「要介護状態等」という。)に関し、必要な保険給付を行うものとする。
2 前項の保険給付は、要介護状態等の軽減又は悪化の防止に資するよう行われるとともに、医療との連携に十分配慮して行われなければならない。
3 第一項の保険給付は、被保険者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、被保険者の選択に基づき、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが、多様な事業者又は施設から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われなければならない。
4 第一項の保険給付の内容及び水準は、被保険者が要介護状態となった場合においても、可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない。
第2条の第2項に、「前項の保険給付は、要介護状態等の軽減又は悪化の防止に資するよう行われるとともに、医療との連携に十分配慮して行われなければならない。」とありますが
遵守できてますか?老健でもできていないところがあるくらいですよね。
この時点で一部の施設・事業所を除いては、法律の条文ですら、遵守できていない。取り組みを行ってすらいない施設・事業所の方が主流なはずです。ましてや身体的自立性の再獲得させるような、アウトカムまで出せる施設・事業所は数%です。
要因の一つ目は、簡単ですね!介護保険法にそのような法的義務が課せられているにもかかわらず、介護保険制度の仕組みは、ご承知のとおり、要支援1〜要介護5と重度化すればするほど、経営側に、施設・事業所が得る介護報酬が高くなるというもの。行動経済学の考え方で鑑みるに、これでは、要介護度の軽減や身体的自立性の再獲得の促しを介護サービス提供側が頑張るわけがないですよね。
営利目的で介護サービスを行なっている株式会社・有限会社・医療法人(あえて医療法人も入れます)なら当たり前のことです。
ここで問題となるのが、社会福祉法人及び老健を経営する医療法人。
社会福祉法人は税制優遇を受けていてほぼほぼ税金を払っていない「公益法人」です。
納税義務がないということは国民の側ではありません。国民を助ける側。
ですので要介護度の軽減を行うと介護報酬が下がるから実施しない・・・ということになると税金を頑張って払って自由を得ている営利法人と何ら変わらないことになります。
その時点で「存在意義」は無くなります。
老健を経営している医療法人は、老健は「中間施設」で在宅復帰のためのものであることを理解して経営しているはず。それで第二特養のような経営をしているとしたら医療の世界に生きるものとしてのプロの矜持はどこへ・・・?薬代自腹の意味を考えてくださいという話になります。
シリーズ:「介護保険法の条文、法的義務(努力義務じゃないですよ!)を多くの法人が遵守していない要因を探る!」その1は、ここまで!
PHJ 谷本でした。