「ミレニアル世代」が定着し、「Z世代」に新規入職・定着してもらえる社会福祉法人になるために

2019年06月11日

米国発祥の世代論ではあるが、今やマーケティング調査のトレンドは「ミレニアル世代」と「Z世代」である。世代論を研究するのは通常、広告代理店やメーカー系であるが、労働生産人口が今後、激減する我が国日本では、雇用力や職員定着力の向上は法人の生死を分けることから、新しい世代による「価値観」や「カルチャー」の違いに、「合理的配慮」を施すことは、最低限の経営能力であろう。

ミレニアル世代」 と「Z世代」を比較すると、「ミレニアル世代」が「デジタルパイオニア」と言われ、「Z世代」が「デジタルネイティブ」と呼ばれている。現在25歳~37歳くらいとされる「ミレニアル世代」は(日本でいう「ゆとり世代〜悟り世代」)、2000年代に登場した検索エンジンをはじめ、モバイルコネクティビティ、インスタントメッセージングの台頭を目の当たりにしてきた。一方、現在16歳~24歳の「Z世代」は、生粋の「デジタルネイティブ」世代である。彼らが育ったデジタルワールドには、高速インターネット、スマートフォン、ビデオ・オン・デマンド(VOD)、さまざまなゲーム機器、そしてSNSの存在が当たり前のように存在していた。

「Z世代」 の特徴の一つ目は、ダイバーシティ(ダイバーシティとは、多様な人材を積極的に活用しようという考え方のこと。 もとは、社会的マイノリティの就業機会拡大を意図して使われることが多かったが、現在は性別や人種の違いに限らず、年齢、性格、学歴、価値観などの多様性を受け入れ、広く人材を活用することで生産性を高めようとするマネジメントについていう)とインクルージョン(インクルージョンとは、直訳すると包括・包含という意味。 包括は全体をまとめること、包含は包み込む・中に含むことを指している。 ビジネスに当てはめると法人・企業内すべての従業員が仕事に参画する機会を持ち、それぞれの経験や能力、考え方が認められ活かされている状態といえる)の重視である。「Z世代」は自らの世代を示す最も的確な表現として、「流動的なアイデンティティを持つグローバル市民」「既存のルールにとらわれない人々」「デジタルネイティブ」といった言葉を挙げ、自分たちの世代に最も影響を与えるものは、SNS、テクノロジー、そして「ネットいじめ」であると考えている。現代の生活にはSNSが広く普及しているため、「Z世代」は「ミレニアル世代」に比べて、社会問題について仲間と意見交換する傾向が強いことがわかっている。ある調査では、Z世代の半数以上がSnapchatやInstagram、Facebookを1日に複数回利用しており、動画コンテンツに至っては週に23時間も利用していることが明らかになった。つまり、Z世代はコネクティビティを最大限に活かしながら、常に新しい情報を吸収しているということになる。また別の調査によれば、Z世代の3分の1が、自分たちは人間の平等を最も強く信じている世代であると回答している。特にこれはSNS上で急速に拡散する社会問題について、彼らが他のどの世代よりも熱心に自分の意見を表明することの裏付けであると考えられる。したがって多様な価値観を持つ人々が統合されて職場で活躍できる社会福祉法人であることが求められる。女性の施設長がほとんどいなかったり、障害者雇用、シニアの活躍等が進まない社会福祉法人はクールではないと評価されるかもしれない。

また、二つ目に、「Z世代」は、様々なチャネルから法人・企業にアクセスできることを期待している世代である。SNSへの投稿やツイート、近況アップデートを通じて自己を表現することが習慣化している「Z世代」は、日々の出来事を複数のオンラインプラットフォーム上で共有している。こうした傾向から、「Z世代」はお気に入りのブランドとつながる場所として、実店舗だけでなくスマートフォン、SNSといった媒体を求めていることがわかる。

 社会福祉法人としてのオープンなコミュニケーションは、「Z世代」にリーチするための必須要件である。デジタル化とSNS、さらにはリアルなオフラインでの体験も提供しながら顧客と双方向のコミュニケーションを確立できる法人は、法人の存在感を確立し、より多くの「Z世代」と結びつくことができるようになる。一般に社会福祉法人はネット環境やWebマーケティング・SNS活用が他産業に比較して「2週遅れ」と評されているが、これでは人材確保と定着に未来はない。さらに、三つ目は、「Z世代」は完璧を求めないカルチャーを持つと評されている。ミレニアル世代の特徴の1つとして、将来に対する楽観的な考え方をする人が多いことが挙げられたが、しかし、それとは対照的に「Z世代」はより現実的な視点を持っている。彼らが関心を抱いているのはむしろ、完璧な生活よりもリアルな世界を映し出したサービス・商品やメッセージである。完璧で、幸福で、悩みのない生活といったイメージは「リアル」ではないため、彼らの共感を得ることはできない。これまでの世代と違い、「Z世代」が従来の「美」に対する考え方や、「簡単で手間がかからない」といったイメージを嫌うのも、このためである。自由とクールをテーマに、「誰もが目指すべきスタイル」など存在しないこと、そしてユニークであることを恐れるべきではないと主張したがるのが、「Z世代」といえる。社会福祉法人同士で横並びの経営スタイルはクールではないということか。「地域における公益的な取り組み」も「みんなでやれば怖くない」では魅力に欠ける。経営者は孤独なものである。法人の独自性を慈善事業で打ち出し、「地域における公益的な取り組み」において差別化を計ることもブランディングの重要な要素である。一人で考えるのが当たり前である。

4つ目は、「Z世代」がアピールしたいのは「自分独自のスタイル」ということである。自主性・独創性と目的意識が強く、唯一無二のスタイルを重視する「Z世代」は、服やアクセサリーなどを本来の使用方法や形状、機能から逸脱させて使用することに長けている。しかも、それを実際に着こなして他人に見せることをためらわない。「Z世代」は周りと同じように見られることを嫌うという旧来の日本人とは真逆の価値観を有していると言われている。そのため、法人は「Z世代」が個性的な法人を求めていることを理解した上で採用活動や法人ブランディングを行う必要がある。社会福祉法人という法人格を有することを前提とした次のステージの法人としての個性が必要である。

「インクルージョン」と「個性」はZ世代の考え方に大きな影響を与えている2大原則である。人と違っていることがクールであり、完璧なものなど存在しないということを前提に、お互いの違いを受け入れようという考え方こそが、「デジタルネイティブ」として完成された最初の世代、つまりZ世代の価値観である。そしてその世代を職場で活躍させることができる世代はどの世代からか?

あるいは、世代を問わないとしたら、永遠に、新たに学び続ける者しか、社会福祉法人の経営者としては活躍することは困難になるのか?経営のパラダイムシフトに対応できない経営者の場合は、社会福祉法人経営者の世代交代の時期は刻々と近づいている。