インターネットの時代に対して、障害福祉サービス社会福祉法人こそ最先端を走れ

2019年01月29日

インターネット時代におけるリスティング広告と障害者福祉サービスにおける利用者拡大手法

    〜アナログによる障害者福祉サービス登録者拡大からWEBによる集客へ〜

 

AIの活用やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)導入の自動化によっての介護・福祉現場の生産性の向上には、資金を必要とする(当たり前の話だが)。収益力が強い法人か金融機関からの資金調達力が強い法人しか実現しない(または、社会福祉法人で社会福祉充実残高、いわゆる内部留保があり、社会福祉充実計画の策定・実施が必要な法人)と思われる。あるいは。AIやRPAで騒ぐ前に、介護・福祉の現場で必要不可欠なイノベーションは、何よりも手書きやパソコンでの残業プロセスから(タブレットも現場では、デカくて結局使いにくい)一気にスマートフォンで介護記録・請求業務までの連動が済んでしまうシステムの導入であるが、これも開発費用を出せる法人とそれに応じてくれる開発会社のご縁が必要となる。これも事例が出始めているがそのほとんどが開発プロセスの途上が多い、という現実もある。そのような、ゼロか100かの話をしてしまうと、AIやRPAの話が進まない(つまらない)ので、本稿では、その前のレベルでの、話、いわゆるインターネット時代への対応とそれによる収益力の向上の話まで前提を戻すことにしたい。

 

平成30年度障害福祉サービス報酬改定において、もっとも筆者として衝撃的であったのは、就労系サービスのうち「就労移行支援」の報酬体系の完全アウトカム化であった。従来は単純に定員数べつに804単位となっていたものが、前年の実績に応じて翌年の基本報酬が連動する方式に変革されたのである。これで従来と同等の報酬を確保できるアウトカムは一般企業に就職後半年以上の期間定着している利用者の率が3割以上4割未満の場合となり、それ以下は軒並み減収となることになった。筆者がコンサルティングにおいて係る法人格はそのほとんどが社会福祉法人である。障害者福祉専業の社会福祉法人も多いのだが、そのような社会福祉法人が経営する就労移行支援事業所はおしなべてアウトプット(登録率)とアウトカム(一般企業への就労率)が弱い。その要因は、就労のための訓練プログラムの充実度や質の担保以外の要因としては、プロモーション力の欠如にある。

全国就労移行支援事業所連絡協議会の2016年における調査によると、一日の平均利用者数は17名。13事業所は年間で定員を充足しているが、29事業所(全体の69%)が定員を割って運営しており、内3事業所は50%を下回っている。(一日当たりの平均最低充足率35%、平均最高充足率120%) 。充足率は、都市部と地方とでは差がなく、 42事業所のうち、5事業所が2017年度に定員変更をしている。その内、4事業所が定員を減少させ、1事業所 は定員を増加させている。定員増は多機能型から単機能へ変更したためで、定員減は利用率(利用者数)の低下を理由としている事業所が3か所、残りの1か所は利用者支援を充実させるための定員減となっていた。

現場でのコンサルティングによる実態の肌感覚からいうと、株式会社などが経営する就労移行支援事業所よりも歴史のある社会福祉法人の定員対比登録率の低迷ぶりが目立つ。その要因は、広報・営業の機能不全である。現場の業務の忙しさを理由に、①広報活動の計画がない、②広報活動の計画はあるが、実行のためのマネジメントがない。③広報活動の計画とマネジメントはあるが、やりっぱなしで勝負勘がない(目標設定と達成へのマネジメントがない)、④営業になっていない〜等が一般的にいわれる。特別支援学校や計画相談事業所、各種障害団体や関係機関をこまめに回り、目標設定とその達成を追いかける足で稼ぐ営業ももちろん大事で、株式会社立の就労移行支援事業所は、その辺の徹底は当たり前となっている法人が多い。しかし、さらに株式会社立の就労移行支援事業所は、障害を持つ当事者の後ろにいる家族の存在をリアルに捉え、インターネット時代に即応した利用者獲得戦略を策定し、実行している。それは、「リスティング広告」の効果的活用である。「リスティング広告」とは、リスティング広告とは「GoogleやYahoo!のような検索エンジンで検索をした際に、その検索キーワードに関連した広告が表示される」という仕組みである。図の赤枠の箇所が、広告ゾーンになる。

リスティング広告の最大の特徴は「クリック課金制」という点である。広告が表示されただけでは費用は発生せず、あくまでも広告がクリックされた時に費用が発生する。広告主は、各キーワードに対して上限クリック単価や表示する時間帯などを決めることができるので、非常にコントロールしやすい広告となる。障害を持つ子どもの親御さんは、我が子の自立生活支援に希望を見出し、その一歩を踏み出すときにどうするか?突然、計画相談支援事業所や行政機関に問い合わせるだろうか?答えは否、インターネットで検索する。「障害者 自立 就労」などとGoogle検索した際に、その横または前後に、リスティング広告を仕掛けた就労移行支援事業所の存在をPRできるものである。その上で「資料請求」→「訪問による説明」・または「見学希望」→「契約手続き」といった一連のプロセスに進む。

成功する就労移行支援事業所に必要な要素は、「福祉でありながら、福祉の色を消す」ことである。そのためにはPR、ブランディングはスマートであり、Coolでなければならない。利用者獲得や求人はスマートでCoolなアプローチとそのブランドイメージにマッチした法人・事業所のカルチャーづくりという名のガバナンス・内部統制、役員・管理職の世代交代・若返りを実現すべきである。特に社会福祉法人にとっては、喫緊の課題と考える。