ロボティクスと共に働く施設・事業所の実現は、リーダーシップの有無とチームマネジメントの有効性にかかっている!

2018年08月08日

前号でも触れたように、産業界では急速にRPA(ロボット・プロセス・オートメーション)、いわゆるソフトウェア・ロボティクスの導入による間接業務の自動化が急速に進んでいる。RPAはロボットといえども、その実態はソフトウェアである。事務作業の8割を自動化するといわれており、米国のRPAベンダー、オートメーションエニウェアなどが2000年代に入ってから開発をし始めた。RPAについては、あと8年後の2025年には、世界で1億人の仕事がRPAに代替されると予想しているのが米国のマッキンゼー・グローバル研究所である。人間の代わりに間接業務をこなすことから「デジタルレイバー」と表現される。

リコー・ジャパンでは、2016年に人事部門の勤怠管理や経理部門の財務諸表の作成などに導入し、仕事の数として14種類、1ヶ月のうち3000時間分の間接業務に関わる時間をRPAに代替を成功させたという。生まれた時間は当然に営業や仕事上の戦略立案等、正に人間でなければできない業務に振り分けられることとなった。

 

RPAがフル活用されるように導入を成功させる鍵は、部署ごとに導入責任者の人材育成を事前に行うこととされる。この人材育成を行わずに安直な導入を試みると、いわゆる「ゴミロボット」を作り上げることになる。

何故、部署ごとの導入責任者への事前教育・育成が必要なのか?RPA導入を試みるとみえてくるのが、RPAに適した業務プロセスと適さない業務プロセスを可視化すべきであるという点である。最初感じるのは、業務プロセスの最初から最後まで全く人間による作業が入らない形でロボット化できる業務は意外と少ないことが判明する。いわば、人間とソフトウェア・ロボットが共存して助け合う「人機一体型の業務プロセス」が多くなるイメージである。それ式で、人間が携わる業務が細分化され代替されることにより、結果、膨大な時間が人間の手から離れるわけである。

そのため。丁寧な業務の棚卸が必要で、その上でリーダーシップを取りながら導入責任者がファシリテート(合意形成を取るための導き)を施していくことになる。業務の棚卸により、逆に、人間の手で行なっている業務プロセスが本当に必要なプロセスなのか、二度手間になっている業務自体を見直した上で、ソフトウェア・ロボットへの代替をしなければならないという必要性にも気づいてくる。この辺りについては完全に「ボトムアップ型プロジェクト」になりうことに留意が必要である。

そしてさらに成功のポイントは、トライ&エラーの方針・考え方を重んじることである。この方針は、日本人が苦手とするところである。日本の政府や行政、大企業は昔から「無謬性の原則」に呪われているからだ。政府は間違いなど起こさない。行政は間違いなど起こさない、大企業は間違いなど起こさない、あってはならない・・・・など現実にはいくらでもミスやエラーや不祥事を起こしているのに、対応が隠蔽になるのは、根源的思想が「無謬性の原則」に囚われているからである。しかし、生き残るためには、民間企業は、社会福祉法人は、医療機関は滅びると経営者責任であるから、「無謬性の原則」などと寝言を行っている場合ではない。エラーを浮き彫りにして仕組みをどんどん強化する発想が大事である。そのため要件定義に慎重になってはいけない。まずはDO、やってみる、そして修正・変更でトライ&エラーで使えるRPAにしてくことが成功の秘訣である。

 

日本の企業・法人がグローバルな競争に勝ち抜くためには(現代の意味は優秀な外国人人材及び国内人材の獲得がメインである)、イノベーションを興すための創造的な業務に時間を使う「働き方改革」が必要であると叫ばれている。

実際は、我々は日常業務をこなすための「単純作業」に時間を結構取られており、創造的な業務に時間を割り当てできず、逆に創造的な時間を減らして単純作業時間を確保している状況とされる。そのため生産性が低いと揶揄される我が国の企業・法人に必要なのは「単純作業」を減らし「創造的な業務」に時間をシフトさせる「働き方改革」である。医療・介護・福祉でいえば、「事務処理プロセス」を減らし、「直接処遇プロセス」の質を高めていくということになる。

 

さらに「人機一体業務プロセス」を施設や事業所で一般化させる経営努力は、先駆的に行う必要がある。最終的には法人のブランディング向上のためである。

古い経営体質はもう通用しない時代になった。特に歴史のある社会福祉法人の経営者、理事は自らを顧みなければならない。現代の日本の10代、20代、30代の価値観をなめてはいけない。40代、50代、60代、70代は時代の最新の価値観に学び、自らの経営姿勢を合わせていかねばならない。

 

医療・介護・福祉分野は、直接処遇プロセス以外の間接業務を生産性と効率性の向上等経営力の強化にトライし始めなければならないタイミングを迎えている。生産性と効率性の向上は、「介護や福祉は経営の近代化が2周遅れ」と言われてしまってはいけない。医療・介護・福祉分野は、需要が極大化する産業分野であり、経営の危機感とスピードを最速化するためにも経営戦略上の優先課題といえるだろう。