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いつもお世話になっております。
PHJの谷本です。
皆さんは「エビデンスギャップ」という言葉を聞いたことがありますか?
エビデンスギャップとは、最新の科学的な知見(エビデンス)と実際の臨床現場や実務現場での実践との間に存在するギャップ、つまりズレを指します。
例えば、医療分野においては、新しい治療法や薬が開発され、それが臨床試験で効果が確認されたとします。
しかし、その情報がすべての医療従事者に適切に伝わり、それが現場で適用されるまでには時間がかかります。
この間に生じるエビデンス(科学的な根拠)と現場の実践との間の差がエビデンスギャップです。
このエビデンスギャップが存在すると、患者が最新の知見に基づいた最善の治療を受けられない可能性があります。
それは患者の健康状態や生活の質(QOL)に影響を及ぼす可能性があります。
エビデンスギャップを解消するためには、最新の知見が医療従事者に適切に伝わり、それが現場で適用されやすい環境を作ることが必要です。
これには、研究成果の適切な共有、教育とトレーニング、システムやプロセスの改善など、多方面からの取り組みが求められます。
エビデンスギャップの一例として、高齢者における慢性心疾患と水分制限について考えてみましょう。
慢性心疾患を持つ高齢者に対して、一部の医療職が厳格な水分制限を課すことがあります。しかし、最新のエビデンスは、高齢者における一般的な水分制限の効果について疑問を投げかけています。
高齢者が必要な水分を取らないことは、脱水や腎機能の悪化を引き起こし、結果的に健康状態を悪化させる可能性があるからです。
しかし、このエビデンスは広く共有されていないため、根拠のない水分制限が伝播してしまうというエビデンスギャップが生じています。
患者が医師から水分制限を指導された場合、その指導は医療専門家からのアドバイスとして認識され、一般的にはその指示に従うことが求められます。
このエビデンスギャップを解消するためには、まず最新のエビデンスが医療職に広く共有され、理解されることが必要です。また、医師が患者に対する治療方針を決定する際には、患者の個別の状況を考慮に入れ、最新のエビデンスに基づいた判断をすることが重要です。
さて、これをどのように解消していくべきでしょうか。
私は、応用行動分析学(ABA)の視点から考えることで、新たな解答を見つけることができると信じています。
ABAは、行動を科学的に理解し、それを用いて人々の生活の質を向上させるためのアプローチです。この視点から、エビデンスギャップの解消に向けて以下の2つの要素が重要となります。
ABAでは、行動を形成・維持するために環境がどのような役割を果たしているかを重視します。
医療・介護の現場でエビデンスベースの判断を行うためには、組織全体でそれをサポートする仕組みを構築することが必要です。
組織内のコミュニケーション、教育・研修、パフォーマンスの評価など、あらゆるレベルでエビデンスベースの判断を重視する文化を作り上げる必要があります。
ABAは対話を行動の一部と捉え、その質が行動の結果に大きく影響すると考えます。
エビデンスギャップの解消に向けて、医療職・介護職の人々がエビデンスベースの判断について理解し、それを日々の業務に取り入れるためには、対話の質を向上させることが必要です。
それはチーム内のコミュニケーションだけでなく、患者やその家族とのコミュニケーションにも当てはまります。
また、ABAの理論で、「ルール支配行動」という観点も非常に重要です。
ルール支配行動とは、人間が言語や社会的なルールを理解し、それに基づいて行動する能力を指します。
この能力を持つことにより、人間は他者の経験や知識から学び、自身が直接経験しなくても新たな行動を獲得することができます。
このルール支配行動を理解し、効果的に活用することで、エビデンスギャップを克服しようとする私たちの努力は、より大きな成果を上げる可能性があります。
しかし、ルール支配行動を利用する上で注意すべきは、ルールが常に正しい行動を導くわけではないということです。
過去の経験や古い知識に基づいたルールが、現在や未来の状況に対応できない場合もあるのです。
だからこそ、私たちは常に最新のエビデンスに基づいたルールを学び、適用する必要があります。そして、それを組織全体で共有し、理解することが重要となります。
私たちが目指すべきは、「科学的介護」の教育と現場での適用を一致させることです。
それによって、高齢者のQOL向上と健康状態の改善に繋がり、結果として社会全体の福祉の向上に寄与することができます。
ではまた!
それでは、コマーシャルです!
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